ブランド構築の基礎講座

この記事は2021/8/18に公開しました

ブランド構築の仕方と基本的な知的財産法の活用方法とは?


ブランド構築に知っておくべき3つの法律


 つい先日、 鬼滅の刃® ︎の主人公などをプリントしたシールを手作りし、フリマアプリで販売した男(未成年)が逮捕されるという事件がありました。罪名は商標法違反です。 鬼滅の刃® ︎は、株式会社集英社が「シール」について商標権を持っているので、 鬼滅の刃® ︎なる文字列を印刷したシールを集英社や集英社にお金を払ってライセンスを受けた人以外が勝手に売ったり配ったりすると、このようなことになります。気の毒ですが、商標法違反のような「経済犯」といわれる罪名で前科がついてしまうと、その後に何か商売をするにしても、就職をするにしても、カタギの事業者とはほとんど取引をしてもらえなくなります。
 そして、これは傾向に過ぎませんが商標法違反やこの手の「健全な競業秩序」を乱すとされる犯行は、詐欺や傷害・窃盗などに比べて警察が動きやすく、割と本当に逮捕されてしまうという実情が現実にあります。ですから、たとえ「未成年」であっても「商標法違反」という警察が動きやすい犯罪にうっかり手を染めてしまうと、本当に逮捕されてしまうというのが「商売の世界」では常識だったりするのです。逆に言えば、ここさえきちんと押さえておけば当然逮捕されるといった最悪の事態は回避できますし、スタートアップ事業者としての知名度と信用が積み重なれば、大企業からコラボレーションのお誘いを受けると言ったことも夢ではなくなってきます。
 特に、大手の企業は法令遵守(コンプライアンス)の徹底を優先しますので、個人であっても、スタートアップ企業であっても、無名の中小企業であっても「健全な競業秩序」を守れるという強みは、商品やサービスのクオリティや事業者としてのあなた自身の人柄よりも経歴よりも、ずっと大きな影響を与えます。では、これから皆さんが守るべき「健全な競業秩序」について知っておくべき法律を3つご紹介します。それが、 商標法、意匠法、不正競争防止法 の3つです。

あまり聞き慣れない不正競争防止法とは?


 商標法は何となくイメージがつくと思いますが、意匠法(いしょうほう)と不正競争防止法はあまり馴染みがない方も多いかもしれません。意匠法は英語にするとデザインの法、つまり他人に商品デザインを真似されないように保護を受けるための法律で、不正競争防止法は商標法と意匠法では保護しきれない真似や模倣から事業者を守るための法律です。商標法と意匠法は登録主義と言って、特許庁の審査を受け一定の要件をクリアして初めてその内容が登録され、公報という形で権利内容が公示されることで誰でもその内容を確認できる状態になるという仕組みになっています。先ほど説明した「 鬼滅の刃® ︎は集英社がシールについて商標権を持っている」ということも、J-PlatPatと呼ばれるホームページから確認したものです。
 しかし、全ての名前やデザインを保護対象にすることはできないため、どうしてもそこからあぶれてくる名前やデザインというものが当然出てきます。そこで、商標登録や意匠登録を受けていなくても、有名であることを条件に商標登録や意匠登録があるかのような扱いを例外的に認めるための法律が、不正競争防止法です。例えて言えば、商標登録や意匠登録は法律婚をしているような状態です。しかし、未成年であったり、同性であったりという事情で法律婚ができないという場合もあります。また、単なる彼氏・彼女や時には愛人であっても、法律婚と同じような効果を主張したいというときもあるでしょう。そういう時に、二人に法律婚をしているのと同じような夫婦としての実態があるのであれば(これが有名であることを条件にという意味にあたります)、特別に法律婚をしているのと同じように扱ってあげましょうという仕組みが不正競争防止法として採用されているのです。

商品名と事業者名をそれぞれ用意する


 ブランドには大きく分けて2種類があります。それが具体的な商品名である プリウス® ︎というペットマークと、それを提供している トヨタ® ︎というハウスマークです。ブランドの構築には、このペットマークとハウスマークの強固な結びつきが重要となります。例えば、 スーパードライ® ︎といえば アサヒ® ︎ 一番搾り® ︎といえば キリン® ︎です。これらを思い浮かべるとき、多くの人は スーパードライ® ︎ 一番搾り® ︎のCMを思い出し、「アサヒ!スーパードゥラァ〜イ!」「キリン!一番搾り!!」といった具合で、一体の称呼やフレーズで思い浮かべた人が多いのではないでしょうか。
 ブランド構築が上手い企業は、このようにペットマークとハウスマークの結びつきにも考慮した広告宣伝を行なっています。 トッポ® ︎といえば三菱自動車株式会社の車種ではなく ロッテ® ︎ トッポ® ︎を思い浮かべるでしょうし、 コアラのマーチ® ︎もハウスマークはなんだっけと迷う人はほぼいないはずです。ところが、 ベビースター® ︎ラーメンといえば、その出所を正確にパッと思い出せる人は トッポ® ︎ コアラのマーチ® ︎よりかは少なくなるでしょう。

認知度を上げ検索容易性を向上させるのに必要な3要素


 ブランドの構築には法律で認められた3段階の成長ステップ、そしてそれを成長させる正しい方法、手続きというものがあります。それが、

1. 自他商品識別能力の獲得→ 2. 出所表示能力の獲得→ 3. 品質保証能力の獲得

の3段階です。自他商品識別能力とは、それが何らかの商品やサービス名であることをお客さんが認識できること、出所表示能力とは、それが誰によって作られた商品か、提供されたサービスかをお客さんが認識できること、品質保証能力とは、その商品やサービスがどのようなものかお客さんが認識できること、をいいます。
 例えば、 プリウス® ︎といえば、車の名前であり、それはトヨタ自動車の一車種であり、ハイブリッドカーの代表格でたまにニュースで話題になる、そういう印象・記憶・連想が芋づる式に出てきます。そういう意味で プリウス® ︎は間違いなくブランドであり、トヨタ自動車に無断で プリウス® ︎という名前やそれと紛らわしい名前を使って商品販売や商品説明をすると、誰しもが「ヤバイな!」という警戒心を抱くはずです。
 では、 LOGO® ︎はどうでしょうか。 LOGO® ︎は、車の名前であり、それは ホンダ® ︎がかつて販売していた一車種であり、ハッチバック式の小型自動車です。おそらく、 LOGO® ︎が車の名前であることすらピンとこなかった人が大半ではないでしょうか。そういう意味で、 LOGO® ︎はブランドが構築されているとは言い難いのです。なぜなら、多くの人に LOGO® ︎なる名前が何に使われていて、それが誰によって作られていて、それがどのような商品かという認知が、ほとんどされていないからです。
 ブランド化されたことの価値を定量的に判断するには、顧客がその名前を見た時、その名前を商品名と認識でき、その提供者が誰なのかを特定でき、その商品がどのような特徴を持っているのかをいかにスムーズに、正確に顧客が思い出せるか、そして、その提供者が何者なのかに至るまでの道筋をいかに顧客に定着できているかで判断することができます。ブランド化とは、これらの要素をいかに正確に、効率良く、その効果がポジティブなものになるようにその商品とその提供者であるあなたのキャラ作りを戦略的に行うことを言います。つまり、ブランド化とは「野○タをプロデュース!」することに他ならないのです。
 まずは商品名と事業者名を決め、それらを一体として用いる広告宣伝活動を企画し、必要な意匠権、商標権を取得するよう準備を進め、既にその分野で成功している競業他社と健全な競業秩序を維持しつつ、ブランドの認知度向上と自らのキャラ作りを計画的に行う。これがあなたが進むべきブランド構築の最も効率的かつ効果的な具体的なステップとなります。

登録商標の表記について
説明のために以下の登録商標を本文中に記載させていただきました。
鬼滅の刃® ︎は株式会社集英社の登録商標です。
PRIUS® ︎はトヨタ自動車株式会社の登録商標です。
トヨタ® ︎はトヨタ自動車株式会社の登録商標です。
LOGO® ︎は本田技研工業株式会社の登録商標です。
ホンダ® ︎は本田技研工業株式会社の登録商標です。
スーパードライ® ︎はアサヒグループホールディングス株式会社の登録商標です。
アサヒ® ︎はアサヒグループホールディングス株式会社の登録商標です。
一番搾り® ︎はキリンホールディングス株式会社の登録商標です。
キリン® ︎はキリンホールディングス株式会社の登録商標です。
トッポ® ︎は三菱自動車工業株式会社の登録商標です。
トッポ® ︎は株式会社ロッテの登録商標です。
コアラのマーチ® ︎は株式会社ロッテの登録商標です。
ベビースター® ︎は株式会社おやつカンパニーの登録商標です。


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 子供の頃から手先が器用だった主婦のAさんはフリマアプリでオリジナルのアクセサリーを出品してみました。月に4〜5個程度の商品を販売することができ売り上げは月に約1万円。ハンドメイド業界ではかなり順調なすべり出しと言えましたが、Aさんは心のどこかに不安を感じていました。それは何日かに一度、商標法違反で他の出品者が逮捕されたとか、ハンドメイド作品に「これは著作権侵害だ」とか「誰かのパクリだ」などという書き込みが時々目に止まっていたからです。
 フリマアプリといえどもオリジナルの作品を出品して販売すればもう立派な事業者です。プロへの第一歩として、まずは最低限の法律知識に基づいた商品開発の方法と市場への流通方法について事例を通して学んでいきましょう。

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ブランド作りを手順書に落とし込めるステップで

 皆さんも一度は街の本屋でブランド化の方法について調べたことがあると思います。私もフィラー特許事務所の開業前に、私以外の専門家がブランドの作り方をどのように説明しているのか、大型書店に調べに行きました。それによると、自分だけのブランドを持つためには、表現の差はあれ「自分だけの特徴を活かし、それを強みに変え、付加価値を創造し、多くの顧客に特別の満足を与えることが大切だ。そして中小企業が生き残るにはブランド化しか方法がない!」などと続くものが大半でした。実に、フワッとした事ばかりが書かれていました。私がアメリカ人なら思わずこう叫んだでしょう。

“で、結局俺は一体何をすればいいって言うんだ! ジョニー!”

 確かに「自分だけの特徴を活かし、それを強みに変え、付加価値を創造し、多くの顧客に特別の満足を与えること」は大切です。しかし、顧客に知られていない、私が何者なのかすら満足に認知されていないのであれば、それはもはや存在しないも同じです。ブランド化の基本は「知ってもらうこと」から始まります。知ってもらうためには、認識してもらうための名前が必要であり、思い出してもらうための特徴が必要です。上の説明は「思い出してもらうための特徴」作りを示しているのですが、せっかく思い出してもらえても、その特徴からあなたの事業であることに顧客が再到達できなければ、結局存在しないも同じです。フワッとした抽象論ではなく、手順書に落とし込める具体的なステップを通じて構築できるブランド作りを、フィラー特許事務所と共に進めていきましょう。

フィラー特許事務所
弁理士 中川真人